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Shunsuke Yamanaka
木製家具職人

現在、三重県四日市市に工房を構え、木製家具の製作を行っている。 プロダクトラインナップは多岐にわたり、テーブルや椅子、スツールなどの比較的大きな家具から、 掛け時計、箸置きやトレイ、ブックマークなどの文房具、一輪挿しなどの雑貨も手がけている。

“いい木”へのこだわり

彼のプロダクトラインナップを見ると、まず扱っている木材の多さに目をひかれる。 単一のプロダクトにも、何種類もの異なる木材を利用し、独特のデザインが出来上がっている。  「“いい木”とは何なのか?ということは常に考えています。“デザインよりも素材”という意味ではなくて、 こういうデザインだったらこういう素材の使い方もありじゃない?っていうのが必ずあるはず。 例えば、フシやシミなどの、通常はマイナス要素としかならないものもがんばって生かすようにしています。 「ふつうはこういう使い方はしない」というご意見も頂きますが、 最終的な見た目で自分が好きなものが出来上がればそれでいいかなと思っています。」  こう語る山中さんの“いい木”を求める思想は、当然多くの種類に触れ、多くの木と付き合っていない限り生まれ得ない。 彼のプロダクトに使われる木材としては、カエデ、クモ、ウォルナット、ナラが多いが、 20種類を超える木材を使った経験があるという。独特なデザインといっても刺々しさはなく、 実際には見た目にも手触りもとても柔らかい。その柔らかさは、彼の木に対する柔軟さが注がれているのかもしれない。

広告代理店からのスタート

元々は広告代理店に勤めた。それもあえて小さな広告代理店を選んだ。 顧客とのつながりが強く、エンドユーザーの生のニーズを肌で感じることができることに魅力を感じたためだった。 「将来の自分のプロダクトラインナップの参考に」と勤めはじめたが、今では当時の経験が本当に随所で役立っているという。

生活シーンの提案へ

木材への造詣は深いが、いわゆる民芸は追い求めている姿ではない。オーダーメイドの工房家具とデザイン家具の中間が理想だと語る。
「というより、(民芸は)自分がやっても仕方がないと思っているんです。 (民芸は)その現場があって、そこに入ってナンボだから。 最近では、“D&DEPARTMENT”のやっていることにとても興味があるんです。 はぎれなどの準廃材を使って新しいソファーを作るとか、今まではごみにしかならなかったものを生かすっていう思想は、 僕の木に対する気持ちや、プロダクトに向き合う思いととても似ているんです。」  将来的には、エンドユーザーの生活のシーンを提案していきたいと語る。 彼のプロダクトは木材だけを扱うが、さまざまな強みのある作家さんとのつながりでトータルな空間、 あるいは生活そのものを提案していくのが夢だという。  「自分のプロダクトに合うもの、自分が好きなものを提案できることは楽しいし、 使ってもらえたらもっとうれしい。ましてや、その中に自分のプロダクトが入っているというのは本当に幸せなことだと思いますね。」

<インタビュー: 酒井研治>